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考察03/グレネードランチャー

 今回はサックリ目の考察で、AC世界のグレネードランチャーについてです。

 ACでグレネードランチャーと言えば、初代から登場する古株で、長大な砲身から強力な砲弾を発射し、爆炎とともに敵を薙ぎ倒す実体弾火器の花形。ゲーム本編、ムービー、小説その他媒体を問わず、象徴的な武装として扱われているのはご存知の通りです。

 しかし、何気なく使用されているこの武装。はたして、本当に「グレネードランチャー」なんでしょうか?

※2/25:同志PaleMoonより『滑腔砲』と『カノン砲』という表記に関して指摘があったので、訂正しました。謹んでお詫び申し上げますorz
M203
画像引用元:http://www.colt.com/

M79
画像引用元:http://tri.army.mil/index.htm

 グレネードランチャーとは、日本語では「擲弾発射器」「擲弾銃(筒)」などと訳されれるものです。M16をはじめとする西側アサルトライフルの銃身下部に取り付けるM203シリーズ(画像上)や、ターミネーター2の後半で活躍したM79(画像下)などは見覚えのある方が多いと思います。太い銃口と大きな弾丸が印象的ですね。

 口径は40mm程度が一般的で、有効射程は数十~百メートル強。単純な最終到達距離では400mに達する機種もあります。手投げのグレネードと違い、使用者の身体能力や投擲姿勢を問わず、安定した弾道・射程を発揮できるのが最大の利点です。
 また、対人用の破片弾頭のみならず、対装甲用のHEAT弾や近距離用のフレシェット弾(ごく小さなダーツ状の散弾を多数発射するもの)、煙幕弾、照明弾など様々な砲弾を使用できます。最近ではサーモバリック弾(燃料気化爆弾の発展型)なども実用化され、室内や塹壕などへの制圧力が向上しています。

 さて、射程の時点で気付いた方もいるかも知れませんが、グレネードランチャーの初速はあまりありません。緩い放物線を描いて着弾します。なので、いわゆる「徹甲弾」は撃てないのです。そもそも、徹甲弾を上手に運用するためには、砲弾を十分な速度に加速できる長い砲身が必要ですしね。(短い砲身でも使えなくはないですが、その分、急激に加速させなければならない=砲身や薬室、薬莢などへの負荷が極端に大きくなるため、現実的ではありません)

 つまり、『砲身が太く、短い』という時点ですでに、少なくとも直射照準で徹甲弾などの運動エネルギー弾を撃ち出すには不適と考えられるわけです。むしろ、先述のように低速で榴弾などの化学エネルギー弾を撃ち出すための装備と言えるでしょう。

 よって、AC世界で『グレネードランチャー』とされるものの多くは、現実のそれとは全く別物であると考えて良いと思います。動画中でも述べましたが、実際は『滑腔砲』もしくは『カノン砲(砲身が長く、直射可能な榴弾砲)』(※2/25訂正)実際は『カノン砲(Gun)』に類するものとして自分は考えています。カノン砲(Gun)とは、砲身長が長く(米軍の定義では30口径以上)、直射ができる砲の総称です。戦車砲も代表的なカノン砲の一つで、英語では「Tank Gun」と呼ばれています。んで、現代の戦車砲はAPFSDSやHEATを運用する都合上、多くが滑腔砲となっているので、動画中で「大グレは滑腔砲かも」と発言した論拠としています。
(※余談ですが、英語での「cannon」は米軍の定義だと、カノン砲(gun)のみならず迫撃砲(mortar)や榴弾砲(howitzer)なども含めた大分類、つまり『大砲』という語に相当します。日本語の『加濃砲』はフランス語からきているようですが……うーむ、誤解の元になりそうですね(汗)
 AC世界では『投擲銃』と呼ばれているものこそが、現実の『グレネードランチャー』の定義に近いと言えましょう。
 このあたりの実情を踏まえた上で創作や考察を行うと、今までとは一味違った視点で有澤社長の雄姿を見られるでしょう(´∇`)


・余談
 これだけなら別に単なる用語の定義の違いであって、大した問題ではないんですが……これ自体、製作側で混同されているようなんですよね(汗
 ヴィクセンのアンダーバレルランチャーに始まり(AAのロストフィールドで使用された際は完全に"AC世界の"グレネード扱い)、特にこれはACfA以降に顕著です。ええ、特に雷電の武器腕とか、アルゼブラの軽グレとか、アルドラのリボルバーランチャーとか(汗
 アルゼの軽グレに至っては……あれ、前後逆じゃないのかなぁ(´∇`;)
 
 というわけで、大火器の定番である『太く、短い砲身』は実は対装甲攻撃には全く不向きである、というお話でした。


参考:http://mgdb.himitsukichi.com/pukiwiki/
参考:http://www.geocities.co.jp/Technopolis-Mars/1550/gun_type/gun_type.htm (※2/25追記)
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コメント

この記事へのコメント

実は使用する砲弾が、対装甲にも使える代物という考え(砲弾に対装甲用のベアリング弾を多数仕込んで、炸裂する際に四方八方にばら撒く、みたいな)をしてみましたが、これは無理矢理過ぎですよね……。

そういえば、ふと思い出したのですが、確かファミ通で前に付いてたAC4関連の小冊子で、バズーカの項目に「徹甲弾を発射する」という項目があったので、手持ちに関しては「バズーカ=徹甲弾」「グレネード=炸裂弾オンリー」という風になっているとか思ったり。
それなら、戦車やAC等の対装甲用にはバズーカや肩のグレネード、その他車両や歩兵用に手持ちのグレネードとすればいいわけですから。

アルゼブラグレに関しては、想定している機体が恐らく空中戦特化の逆関節だと思うので、「射程と命中率と弾数は捨てて良いから、軽量化と小型化による操作性の向上と、とにかく砲弾が真っ直ぐ飛ぶようにしろ」とかいう設計思想で、主に空中からの砲撃による対地範囲攻撃や、爆風によるAC等の重心位置の高い横転狙いで、対装甲は元より捨ててるとか。

もしくは、アルゼブラグレを初め、肩の軽量化系武器は使い捨てが前提なのかもしれませんね。
軽量級の機体への装着、使用を前提に装填出来る砲弾+2、3発の砲撃に耐えうるだけの砲身強度にして、作戦後は即廃棄して新品に、とか。
重量級なら、大グレを装着すれば良いわけですし。主に火力的な意味で。

雷電の腕は……き、きっと砲身が短くても大丈夫な砲弾か、そういう発射システムを採用しているとか! 無理ですね分かります(ぁ

ミリタリーの知識はあまりないので、的外れなコメントかもしれませんが、これで。

ニコ動のコメントや2chの書込みだと、
「ACは可動部分やセンサーなど、非装甲部が広いから
りゅう弾の破片効果がよく効く」
というのを見ましたね。
大口径APFSDSを受け止めるかと思えば、りゅう弾のヘロヘロ破片が脅威になってしまう...
すごく不思議な兵器になっちゃいますね

グレといえば直撃時の爆圧と、周囲への破片効果が欲しい、となると…

やはり、超高性能爆薬入りのやたら分厚い弾殻の弾頭を高速で放てる砲でないとイカンのでは、とか思います。

しかも基本は直撃狙い。


やっぱ長砲身のカノン砲でなきゃ当てられないんではないでしょうかね。

4系だとグレネードランチャーって分類じゃなくなってますね

>774号さん
コメントありがとうございます。
詳しくなくとも、できる範囲で考えて、意見を提示することが大事だと自分は思いますので、どんどんどうぞ(´∇`)

動画でショットガンの話をした時にも触れましたが、ベアリングをバラ撒くような散弾だと装甲兵器にはほとんど効果はないでしょうね。センサーなどの開口部や関節などに当たったとしても、ダメージはかなり怪しいところだと思います(´∇`;)
しかもベアリング弾は空気抵抗で急速にパワーを失ってしまいますから、対人にはともかく、対装甲にはどうにも使いどころのないものになってしまうでしょう。
動画中で収束APFSDSなんて力技の解釈を出しましたが、あれも「それぐらいでなければ、単なる徹甲弾対応の機関砲の方がよほど強いだろう」という自分の考えから成り立っています。

ファミ通PS2にくっついてきた設定資料は自分も持ってます。確かに、バズーカに「大口径の徹甲弾を発射」と書いてありましたが……あれはないなぁ(´∇`;)
この記事の中でも書いたとおり、あんなごんぶとの砲身(相対的に短い)は根本的に徹甲弾の扱いには向きません。砲弾を十分に加速できませんから。
10トン大型トラックを持ってきて「超改造でF-1とも張り合えるぞ!」って言うぐらいの滅茶苦茶です(´∇`;)
あの長さの砲身では、たぶんロケット推進弾でないとまっすぐ飛ばすことも難しいでしょう。おそらくは大型のHEAT弾、譲って徹甲ミサイルでしょうか。

続きの返信はまた後程投下します。

前回の返信からの続きになります。

ともあれ、徹甲弾をまともに扱いたいのならば、少なくとも口径の30倍以上の砲身(30口径長)が必要でしょうね。
ちなみにこれはあくまで最低ラインで、徹甲弾運用の代表格である現代の120mm戦車砲なら、44~55口径長。機関砲でも徹甲弾対応のものだと、ボフォース社のCV9040は40mm70口径長、米軍のM2ブラッドリーなら25mm81口径長、という具合です。


>アルゼグレ
あー、なるほど。つまり、重迫撃砲を担いで直射しているようなもんってことですね。意外と面白いかも(´∇`)
ただし、そうなるとゲーム中の性質とは似てもにつかないものになる(遥かに軽量、多弾数、低速、短射程、低威力、短リロード、安価)でしょうから、一般論としてはちょっと扱いにくくなっちゃうのが惜しいところです。
元よりアルゼグレのデザイン自体がアレすぎるのも事実ですが(´∇`;)
一解釈としては面白いと思います。

>使い捨て?
装弾数プラスαしか持たない構造とか、逆に難しいと思いますよw
プラズマと強烈な摩擦で焼け焦げたりするレールガンとは違いますから。

砲身寿命というのは案外長いもので、艦砲や戦車砲ですら数百発、機関砲だったら万単位にもなります(勿論、きちんと整備すれば)。で、この寿命内でも砲身は少しずつ歪んだり削れたりしますから、命中精度なども少しずつ悪くなります。悪化が許容できなくなるのが「砲身寿命」といった感じです。
いわば兵器の定年ですね(´∇`)
基本的に、負荷が大きな砲ほど寿命は短いです。戦車砲などは重い徹甲弾を高速で発射する(=莫大な圧力と摩擦がかかる)ので、小口径の機関砲より寿命が短いわけです。

なので、「数発だけ耐える≒数発で急に性能が落ちる」というのは、火薬砲では自分には想像しがたいです。
ロケットランチャーなどでは確かに使い捨てのものもあり、それこそ正に「とにかくロケット弾をまっすぐ飛ばす」ためのものですが、「砲」と呼ぶには自分はかなり抵抗があります。発射反動もほとんどないですしね。

>雷電腕
はい、まっこと残念ながらかなり苦しいです(ぉ
せめてローディ先生の腕ぐらいの長砲身だったらよかったんですけどねぇ(´∇`;)

こんなところでしょうか。返信遅くなりまして申し訳ありませんでしたorz

>774号さん

 確かに一般的にそう言われてますよね。
 けれども、個人的には「確かに"比較的"効果的ではあるが、取り立てて言うほどでもない」と考えています。
 榴弾の破片で、軽装甲を貫くだけの威力を持つ大破片は155mm榴弾であっても実に10個足らず。155mm榴弾自体の総破片数はおよそ1500~1700個にもなりますから、割合にして1%にも満たないというデータがあります。勿論、正面などの主装甲にはこれは効果はありません。
 確かにACやMTは関節が多く、こう言った大きな破片は"戦車などと比較して"脅威ではありますが、非常に非効率的だと思います。数トンの155mm榴弾砲で半ば運任せの攻撃をしても、数百キロの機関砲で徹甲弾を撃つのと大して効果が変わらないのですから。

 ちなみに「へろへろ破片」とは言いますが、155mmの榴弾ならば3~10グラムほどの金属破片が約500個ほど、初速は約1000m/secで飛び散ります。
 歩兵用アサルトライフルの弾頭が約3グラム、初速700~800m/secほどですので、榴弾破片の威力が窺い知れるかと思います|∇`)

 後ほど詳しく記事にしたいと思います。今しばらくお待ちください。

参考:http://sus3041.web.infoseek.co.jp/contents/shell_var/he.htm
http://sus3041.web.infoseek.co.jp/contents/shell_var/he_pow.htm

>crowさん
 
 直撃狙いだと「それHEATにした方が早くね?」てなり、そしてそれを高初速で撃ち出せるのならば「もうそれ十分APFSDS使えるんじゃね?」ってなりまして以下略(´∇`;)
 
 対装甲弾の頂点にAPFSDSが存在する現在、榴弾はけしてそれ以上にはならないというのが自分の考えです。APFSDSでは貫通力過剰な軽装甲相手なら別ですけれども。


>774号さん
 
 4シリーズでは腕用が単なる「グレネード」。背部用が「グレネードキャノン」になりましたね。
 ただ、元より「Grenade」という英語の適切な日本語訳が「投擲弾(≒手榴弾)」ですので……お察しください(´∇`;)
 
 今までのACシリーズでのイメージを重視したネーミングなのだとは思いますが、かなり変な言葉になっちゃってるのは否めません(´∇`;)

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アーマード・コア オフィシャルサポーター2009 No.15

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アーマード・コアV CBT オフィシャルレビュワー
 特徴はハラショー体質でメリケン思想。
 リアリティのあるメカ物を志向し、ミリタリー資料を読み漁ってはあれこれと物思いを巡らす日々。
 アーマード・コアを筆頭に、クロムハウンズ、ガングリフォン、鉄騎、フロントミッション、リング・オブ・レッド、ヴルカヌス、ボーダーブレイクなどメカ物は幅広く手を染めてます。
 ニコニコ動画にて【DMINE】ACでミリタリー入門【ACMIL】シリーズを連載中です。
 ちなみにブログのデザインは気分によってたまに変わります。

連絡先:dispater7あっとまーくhotmail.com




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